
30年前には、スマートフォン(そもそもスマホの概念もありませんでしたが)で本を読んだり、地図を見ながら歩くというのは想像の更に上を行く世界でした。30年後も同じように、想像もつかない事柄が実現されていくのでしょう。一方で、長い間実現するといわれている一方で、なかなか提供が開始されないものがあります。代表的な存在が「自動車の自動運転」です。
1、現在は自動運転レベル5段階中3段階
米国自動車技術者協会(SAE)や国土交通省によると、自動運転レベルはレベル0からレベル5に区分けされています。
区分 | 自動運転レベル |
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レベル0 | 自動運転技術が何も無い状況 |
レベル1 | アクセル・ブレーキorハンドリングいずれかをシステムが部分的に行う |
レベル2 | アクセル・ブレーキorハンドリングの両方をシステムが部分的に行う |
レベル3 | 決められた条件下で、すべての運転操作が自動化される。 ただし自動運転中も、システムからの要請でドライバーは運転に戻らなければならない。 |
レベル4 | 決められた条件下で、すべての運転操作を自動化 |
レベル5 | 条件なく、すえての運転を自動化 |
この表を見ると「いまレベル3なのか」と驚きを持たれますが、前の車と近づくと注意報が出る車や、車線中央付近の走行を維持するシステムは、10年前なら考えられなかったものです。今後のレベルアップもあまり意識することなく、定着していくのでしょう。
2、自動運転が定着するとどうなるのか
レベル5が実現すると、車および社会はどう変わるのでしょうか
(1)運転席が無くなる
運転席および助手席が必要無くなります。電車のボックス席のように、座席が向かい合ってテーブルを置けるようになるでしょうか。また運転者が誰もいない、荷物輸送用の自動車も登場するでしょう。世界中で定着したAmazonのようなビジネスも、自宅の前まで車が来て、認証して荷物を受け取る世界に変わるとみられます。
(2)運転免許制度が無くなる
運転手が不要になると、当然ですが免許自体が必要無くなります。マイナンバー制度はこれを前提としたものなのでしょうか(違うと思いますが)。ほとんどの方が免許証を携帯せず、タンスの奥底に保管すると考えると大きな社会変革ですね。
(3)未成年(高齢者)でも自動車を運転できるようになる
もうひとつの大きな論点は、自動車を運転するのが「成人」である必要が無くなるということです。現在でいう自転車を運転できる年齢ならば、車を運転できるという社会通念が浸透するでしょう。運転しないという意味では、自転車よりも低年齢で可能になるかもしれません。一方で昨今問題となっている高齢者の運転も、何も問題無くなると考えられます。自動車の所有数は減っていますが、自動運転の定着によって自動車という価値基準が根本から変わり、世の中に定着することが期待されます。
レベル5が実現した暁も、万が一の事故の場合どうするのか。法定速度を超えて走るケースにどう対応するのかという課題は残ります。高速道路などはより顕著に課題認識されるでしょう。それでも10年前はあり得なかったように、急ピッチで開発され、我々の手元に提供されていくことが期待されています。